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健寿医能研究会

全国の健康問題に悩む数多くの方々のお手伝いをさせていただく傍ら、自分自身で健康体を手に入れ、さらに施術師になるための研修会を実施いたしております。

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陰陽に基づく各症状別食養料理

健寿医能研究会では予防医学講座において行いました各症状別適合食の理論と実践を、「五臓六腑」の陰陽、体質の陰陽などに基づいた各症状における原因と予防、食養の要点、献立の一例を交えてご紹介させていただきます。

1.花粉症予防

◆食養的にみる花粉症の原因と予防◆
春先になると多くの人が悩まされる花粉症。日本のスギ花粉症は、この40年間で急増したことから、食生活の変化が主な原因と言われています。現代的な食生活により陰性食品の摂取量が増え、血液が陰性過多となり老廃物が蓄積され陰性体質となり、 そこへ化学物質・社会的ストレスなどの陰性要因が加わり、抵抗力が極度に低下したところへ、さらに陰性物質である花粉が体内に入り込み、体の中でも陰性な上方の器官である鼻や目、のどなどに影響を及ぼし、不快感、くしゃみを誘発します。 しかし本来、花粉は基本的栄養素が含まれている理想的栄養食品で、人体にとってとても有益なものです。 このことから花粉症の原因は、花粉ではなく、人体の側の異常-免疫システムの狂いから生じるものだということがわかります。 したがって、花粉症の根本治療につながるのは全身器官の機能バランスを整え、血液浄化、内臓の機能を高めることが大切になります。そのためには、食事を改善することが必要です。
◆食養の要点◆
体内の血液を上質にすること(陽性化)を第一に考え、陰性食品を避け、食材は無農薬の自然農法のもの、調味料は無添加・本醸造の物を選ぶようにします。そしてなるべく国内産のもの、できれば地元でとれた、大地が育んだ旬の作物をいただきます。すると、自然に体がその季節に順応し、自然治癒力がついてきます。 主食は、玄米・雑穀など未精白の穀物を、また汁ものとして、季節の野菜を2~3種類と海藻を加えた味噌汁、スープをいただきます。出し汁は昆布と椎茸でとり、味噌は麦と豆を用います。 副食は季節の野菜を体調に合わせて調理します。花粉症の流行する春には、冬に固くなった体の細胞を広げ、解毒効果もある野草や葉菜もたくさん出てきますので、少量をいただきます。
花粉症は、目や鼻の粘膜など、身体の上部(陰性)での症状なので、陽性のエネルギーを上部に運んでもらい、症状を生じやすい部分に停滞している不要物を溶かし、良質の血液によって運び去り排出させるという目的から、ねぎ類や調味料を含む発酵食品小量が重要となります。 また、体を温め代謝機能を活発にしてくれる、葛・ニラ・れんこん・自然薯・黒ゴマ・よもぎ・カボチャ・ネギの根・ごぼう・サトイモ・海藻などを積極的にメニューに取り入れます。 調味料は、塩・麦味噌・豆味噌・醤油を基本とし、調理法は蒸・煮・炊・焼・漬とし、調理用具(鍋)は出来る限り安全な素材で作られた土鍋など陶製のものを使用します。
このように花粉症の食養は根気強く行なうことが必要ですが、それにより症状の緩和がみられ、全身機能が高まり、健康的で、明るく快適な生活が送れるようになると思われます。
◆花粉症予防対策献立の一例◆

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■中春の献立
・玄米ちらし寿司
・香の物(自然薯の味噌漬け、キャベツとたまり漬けの和え物)
・のびるとワカメの味噌和え ・れんこんボールのすまし汁

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2.アレルギー予防

◆食養的にみるアレルギーの原因と予防◆
現在乳児から成人まで多くの人が悩まされるアレルギー。アレルギーは、この40年間で急増したことから、食生活の変化と化学物質等の環境的要因が主な原因と言われています。現代的な食生活により極陽性、今日陰性食品の摂取量が増え、血液中に老廃物が蓄積され、 そこへ化学物質・社会的ストレスなどが加わり、抵抗力が極度に低下し免疫力が低下し発症します。本来免疫システムは、ウィルスや異物から人体を守るために機能しますが、前述の要因によりその機能が狂いはじめ過剰反応を起こしアレルギーを発症します。 したがって、アレルギーの根本治療につながるのは全身器官の機能バランスを整え、血液浄化、内臓の機能を高めることが大切になります。 そのためには、食事を改善することが大切です。アレルギーにはアレルギー性鼻炎、花粉症、喘息など様々ありますが、今回はアレルギーの中でもアトピー性皮膚炎について取り上げます。
◆食養の要点◆
乳幼児期のアトピーは、母体を通して過剰摂取されたものが原因になっている場合が多いので、妊娠中に多く摂取された嗜好の偏りによる食品を避けます。 成人してから発症した場合についても、原因と思われる極陽性食品(肉類、乳製品、卵、魚)や極陰性食品(白砂糖を使った菓子類、ジュース、果物、はちみつなど)の偏った飲食物を避けます。 老廃物や化学物質の排泄を促進する未精白の全粒穀物を食事全体の半分以上摂取します。米やそば、小麦などに反応が出る場合は他の雑穀類を取り入れます。葉菜、根菜、球形菜などで旬の野菜を2~3種類と海藻を加えた味噌汁、スープをいただきます。出し汁は昆布と椎茸でとり、味噌は麦と豆を用います。 体内の血液を上質にすること(陽性化)を第一に考え、陰性食品を避け、食材は無農薬の自然農法のもの、調味料は無添加・本醸造の物を選ぶようにします。そしてなるべく国内産のもの、できれば地元でとれた、大地が育んだ旬の作物をいただきます。すると、自然に体がその季節に順応し、自然治癒力がついてきます。 副食は油を控えめに、季節の野菜を煮る、炒める、焼く、蒸す、漬けるなどいろいろな調理法を組み合わせ、体調に合わせて調理します。 また、体を温め代謝機能を活発にしてくれる、葛・ニラ・れんこん・自然薯・黒ゴマ・よもぎ・カボチャ・ネギの根・ごぼう・サトイモ・海藻などを積極的にメニューに取り入れます。
かゆみには第一大根湯や椎茸スープを飲用し、幼少児でかゆみのある時はきゅうりの輪切りを皮膚にはりつけるか、大根の切り口で皮膚をこすります。成人の場合は、栗の葉や松の葉の煎じ汁、または大根干葉の煎じ汁で皮膚を拭く等の手当てをします。また、赤く乾燥した陽性の皮膚炎の場合はにんじんを避けます。 個々人によって症状が異なりますので、それぞれの体調に合わせ中庸な食事を基本に陰性、陽性を上手に取り入れ、また身の回りの化学物質や不自然なものを排除していくようにします。根気強く行なうことにより症状の緩和がみられ、全身機能が高まり、健康的で、明るく快適な生活が送れるようになると思われます。
◆アレルギー予防対策献立の一例◆

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■中秋の献立
・むかご入り玄米ごはん ・梅干し ・大根葉の磯和え
・もちきびと野菜のスープ ・根菜の水なし炊き

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■初夏の献立
・黒米入り玄米がゆ ・エシャレットの醤油漬け ・味噌汁
・はと麦と海藻のサラダ ・ごま豆腐

 

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3.肥満予防

◆食養的にみる肥満の原因と予防◆
肥満を陰陽で見ると、砂糖・菓子・果物・牛乳・乳製品などの陰性な食物の取り過ぎによる「水太り陰性肥満タイプ」と、肉など動物性食品の過食とアルコール・コーヒー・紅茶・甘い物の常食による「かたぶとり陽性肥満タイプ」、両方が混ざった「陰陽混合肥満タイプ」があります。 肥満の大きな原因は、食べ過ぎと運動不足、つまり摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることにあります。人はこのエネルギーの収支バランスを脂質代謝によってコントロールしていますが、この調節機能が狂うと脂肪の過剰な蓄積が起こります。したがって、肥満を改善するには栄養のバランスを保ちながら、摂取エネルギーを減らし、適度な運動を心がけることが原則ですが、何よりも重要なのは、脂質代謝を高めることです。
◆食養の要点◆
肥満タイプの食養として、主食は玄米に黒ごま塩または鉄火みそ、古漬けたくあん、梅干しを常備し、味噌汁は昆布だしのみで具は旬の野菜、海藻、油揚げなと2,3品。副食はきんぴら、ひじきれんこん、ひじきこんにゃく、切干大根煮、野菜煮しめ、佃煮こんぶ、こんぶ入り小豆かぼちゃ、セイタン入り野菜炒め、のりなど、ごはん3口に1口の割合。飲物は、三年番茶、玄米茶、梅醤番茶などを基本にとります。 陽性肥満タイプは、主食は玄米にごま塩または鉄火みそ、たくあん、梅干しを常備し、味噌汁は昆布だしと椎茸だしで具は旬の野菜、海藻、豆腐なと2,3品。副食は野菜のきんぴらか煮しめ、切干大根煮、野菜炒め、旬の野菜のおひたし、天ぷらなど、ごはん4~3口に1口の割合。飲物は、水、麦茶などをとります。 陰陽混合肥満タイプは、その時の体調により、陰性な症状が出ている時は陰性肥満タイプの食事、陽性の症状が出ている時は陽性肥満タイプの食事を取り入れます。 どのタイプの肥満でも、間食をせず、小食を守ること。1口100~200回よく噛むこと(噛むことによって、代謝が高進し、また満腹感が得られます)。食材は、なるべく国産の農薬・化学肥料を使わない自然農法のものを、調味料は無添加・本醸造の物を選ぶようにします。
このように、食事の改善と適度な運動、そしてストレスを溜めない生活を心掛けることによって、少しづつ効果が現れ、肥満及び生活習慣病予防に役立つものと思います。
◆肥満予防対策献立の一例◆

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■中春の献立
・小豆入り玄米ごはん ・黒ごま塩(8:2) ・たくあん ・梅干し
・よもぎとゆばの味噌汁 ・三色きんぴら

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■晩秋の献立
・黒米入り玄米ごはん ・大根葉と人参葉の磯和え
・けんちん汁 ・ひじき蓮根 ・さつまいもの茶巾絞り

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■梅雨の献立
・炒り大豆入り玄米ごはん ・玉ねぎの梅煮
・そばがきのちぎり揚げ汁 ・錦玉さくら

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4.糖尿病予防

◆食養的にみる糖尿病の原因と予防◆
糖尿病は、今や国民病と言われ子どもたちにも広がりつつあります。普段の食生活に加え、外部環境要因、ストレス、運動不足などにより体内の浄化槽である肝臓、腎臓に負担がかかり多量の老廃物が体内に停滞し始め、糖貯蔵調整がうまくできなくなり膵臓に大きな負担がかかってきます。 これが続くと、インスリンの分泌が過剰になり、膵臓が疲労し機能が低下し、逆にインスリンの分泌が減少してきて、血糖値が上昇します。その結果、 老廃物が全身に蓄積し、全身の細胞が障害を起こし、さまざまな症状が発症します。したがって、全身器官、とくに膵臓と深いつながりのある小腸、肝臓、腎臓、脾臓を整えながら、膵臓を改善していかなければなりません。食を通して血液の質を高め、全身の細胞を正常化することが大切です。
◆食養の要点◆
極陽性食品(肉類、乳製品、卵、魚)や極陰性食品(白砂糖を使った菓子類、ジュース、果物、はちみつなど)の偏った飲食物を避けます。主食は玄米食を基本とし、小豆、あわ、はと麦などを入れるのも良く、とくにあわが効果的と言われています。
副食は、小豆と昆布とかぼちゃの煮合わせは糖尿病の特効薬と言われています。特にかぼちゃは膵臓機能を強化し、インスリンの生成を促す働きがあると言われています。自然薯、椎茸、海藻、芽キャベツ、ピーマンなども効果的。ごま、豆腐、麩などの植物性たんぱく質、植物性油をとる工夫も大切です。 ごぼう、人参、れんこん、玉ねぎなどの根菜類、緑黄色野菜、海藻などの繊維質の多い食事は、糖を吸収し、抑止する効果があるので、血糖値の上昇が抑えられると共に、 血液浄化が進み、肝臓、腎臓の疲労がとれ、全身の老廃物を流す作用があると言われています。のどの渇きには、濃い目の番茶・はと麦茶・ハブ草の実(決明子)、小豆のゆで汁、すぎな茶、 梅肉エキス、肉食を好む人は、野菜や青菜などの青汁などを1日コップ半分くらい飲むのも効果的です。これらの食養生を根気よく続ければ、症状の改善がみられることと思います。
◆糖尿病予防対策献立の一例◆

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■初夏の献立
・玄はと麦入り玄米 ・ごはん(黒ごま塩8:2) ・寒漬け大根
・梅干し ・八宝菜 ・小豆かぼちゃ昆布

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■初冬の献立
・自然薯とろろ丼 ・たくあん ・すまし汁 ・ごぼうの味噌煮
・ふろふき大根 ・小豆かぼちゃ

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■盛夏の献立
・青梅の醤油漬け入り玄米ごはん ・手打ち天ぷらうどん
・きゅうりとわかめの和え物 ・小豆かぼちゃ

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5.腎臓病予防

◆食養的にみる腎臓病◆
腎臓は、血液を濾過し、体内で不要となった老廃物を尿として排出したり、水分・ナトリウムなどの均衡を図り、体を常に浄化しています。 腎臓の機能が低下してくると、老廃物が体外へ排出しきれず体内で滞り、むくみ・耳鳴り・皮膚のかゆみ・激しい倦怠感・意欲減退等が起こり、進行すると腎不全・腎炎などを発症し全身器官・臓器の機能の低下を招きます。 肉・卵・乳製品、味付けの濃い食品など陽性食品の摂取が長く続いた場合、腎臓で濾過装置の役目をしている糸球体が締まり、血液を老廃物と浄化血液に分ける機能が衰えます。 また、甘いもの・果物・陰性野菜・添加物など陰性食品の摂取が長く続いた場合、腎臓の細胞が弛緩し腎臓機能が低下します。
◆食養の要点◆
腎臓を健康にする食事は、食養の基本を守り、主食を食事全体の50%以上摂り、塩分は良質な物を体の要求に従ってとります。水分は控えめにし、午前中の食事はごく少量に、夜遅い食事は避け、よく噛んでいただきます。また、老廃物を多量に生産させる動物性食品・卵・乳製品は避け、細胞を弛緩させる砂糖・陰性の強い南方系の果物・陰性の強いナス科の野菜・きのこ・、細胞を強く刺激する香辛料を避け、腎臓に大きな負担をかけるアルコール飲料、清涼飲料、添加物を含む食品を避けます。 陽性タイプの場合、動物性・油脂類・乳製品を一切含めず、塩加減を薄めにした献立にします。 陰性タイプの場合、砂糖・はちみつ・メープルシロップ・果物・干し果物・ジュース類・油脂類を使わない工夫をした献立にします。玄米に黒ごま塩または鉄火みそ、古漬けたくあん、味噌汁(昆布出汁に根菜類をよく過熱したもの)、海藻類、梅醤油番茶、梅醤葛などは、良質な血液をつくり糸球体の組織再生のために効果的です。 また、小豆はむくみとりと腎臓強化に効果的といわれています。
◆腎臓病予防対策献立の一例◆

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■初夏の献立
・生黒ゴマいり玄米ごはん ・たくあん ・蒸し野菜のサラダ
・ヤンノー汁粉

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■新春の献立
・おはぎ(小豆、黒ごま) ・白菜鍋

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■晩夏の献立
・玄米梅がゆ ・玄米めん ・海藻サラダ ・かぼちゃ含め煮
・小倉寄せ

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6.肝臓病予防

◆食養的にみる肝臓病◆
肝臓は、小腸で吸収された炭水化物、脂質、たんぱく質などの栄養素を代謝して、体のエネルギー源として、合成・貯蔵したり、毒性物質を解毒したり、胆汁の生成・分泌をするなど、人体の化学処理工場としての働きがあります。 肝臓病の主な原因は、ウィルス感染(肝炎)、アルコールの過剰摂取、肥満、(脂肪肝、肝硬変)薬物(薬物性肝障害)などがあげられ、肝臓ガンへ症状が推移していく場合があります。 肝臓は、沈黙の臓器といわれ自覚症状が表れにくいようですが、右肋骨から斜めにかけての違和感やイライラ、怒りやすく短気になったり、だるさ、吐き気、眉間に縦ジワがよっていたりしたら肝臓が弱っているかもしれません。
◆食養の要点◆
肝臓病は暴飲暴食、ストレスが合体しておこる事が多いといわれています。症状が表れたら数日間の断食、または極めて小食にし、肝臓を休めることが大切です。副食は主食の3分の1にし、1口200回以上噛む消化を良くする事が重要です。 また化学物質は、全て肝臓が分解・排世処理しなければなりません。そのため、有機栽培や自然農法の食材を選び、加工食品は無添加で新鮮なもの、調味料は古式醸造法で作られたもの、塩は自然塩を選びます。 肝臓に過大な負担がかかる油や過酸化脂質(揚げ菓子、煮干し)、動物性食品、精製した等分やアルコール、タバコ等は使用せず、肝臓強化に役立つ穀物・野菜・海藻類を用いた料理を組み合わせ取り入れます。 調理法は、中庸を保ち、個々人がおいしいと思う味付けにします。また日頃の生活で、身の回りに溢れている食品添加物、農薬、洗剤、シャンプー、歯磨き剤、水道水などにも気を付けることも大切です。
◆肝臓病予防対策献立の一例◆

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■梅雨の献立
・古代米、押し麦入り玄米ごはん(黒ごま塩8:2)
・らっきょうの梅醤油漬け ・味噌汁(切干し大根、人参、人参葉) ・ひじき梅サラダ

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■初春の献立
・玄米のり巻 ・そば入りすまし汁 ・野菜の旨煮  ・葛餅

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■初秋の献立
・ひじきと大豆入り玄米ごはん ・かぼちゃほうとう
・青菜と漬物のサラダ ・葛湯

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7.心臓病予防

◆食養的にみる心臓病◆
心臓は、全身の各組織に必要な酸素と栄養分を送り届け、不要な二酸化炭素と老廃物を回収してきた血液を運ぶポンプの役目をし、臓器の中でも最も陽性な臓器です。 近年、日本においてはガンに次いで、心疾患が死因の第2位になっています。心疾患の中でも特に、十分な血液が心臓に供給されず、心筋の虚血によって発生する虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)が増加しています。これらの主な原因として、「死の4重奏」とよばれる高血圧、肥満、糖尿病、高脂血症に加え、動脈硬化、高尿酸血症、運動不足、喫煙、ストレスなどの生活習慣によるものが挙げられます。 特に高血圧には、心臓を肥大させ、心筋細胞を大きくし、酸素不足によって虚血に陥りやすくし、また心筋細胞を硬くし、血液を流れにくくさせます。主な症状として動悸、息切れ、胸の痛みなどが挙げられます。
◆食養の要点◆
これら心疾患の主な原因といわれる高血圧は、食事の内容が大きく関与しています。食事の内容によって血液の質が大きく左右され、食べ物によって血液が汚れると血管の抵抗が大きくなり、高い圧力が必要となります。血液が汚れるというのは、血液中に老廃物が増え、赤血球などの血液細胞の質が悪化することを指します。 動物性食品の中でも肉は、体内で老廃物を発生させやすく、これらから変性した脂肪(コレステロール)は非常に陽性で、五臓六腑の中でも最も陽性な心臓に行きます。また、肉、魚、牛乳、卵などの動物性食品の加工品、油脂や砂糖なども血液を汚し、質を悪化させます。 これらの食品を避け、血液をきれいにし、流れやすくする野菜、海藻、豆などを積極的にとりいれます。また、高血圧症の人は多くが陽性過多の陽性体質なので、陰性寄りの食事にします。 主食の玄米は、圧力をかけずあっさり炊いたご飯がむいています。味噌汁は、昆布と干し椎茸でとり、豆味噌と麦味噌で麦味噌の割合を多くし、味付けは薄めにします。野菜は、野菜の陰性成分を全て取り入れるような調理法(煮込み、スープ、水なし炊きなど)を用います。また、柑橘類などの酸味は脂肪分やたんぱく質を分解する働きがありますので上手に取り入れます。 食材は、自然農法で栽培された新鮮で生きた玄米や旬の野菜、それらの食材で伝統的製法により作られた味噌や醤油、自然塩を用いるようにし、それらを少食でよく噛んで頂ことで、血液の質が高まり、予防効果が高まることと思われます。
◆心臓病予防対策献立の一例◆

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■晩夏の献立
・玄米粥(5倍粥) ・梅干し ・きゅうりの梅醤油和え
・ひじきの白あえ ・みかん羹 ・椎茸スープ

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■中春の献立
・玄米むすび ・手打ち黒米うどん ・野草の天ぷら ・黒豆昆布

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■中秋の献立
・むかごと古代米入り玄米ごはん(黒ごま塩、香の物添え)
・納豆入り味噌汁 ・あんかけ野菜

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8.肺臓病予防

◆食養的にみる肺臓病◆
肺臓は、気管を通じて空気を心臓に取り込み、心臓から送られてくる血液に酸素をわたし、引き換えに二酸化炭素を受け取って体外に放出する働きがあり、臓器の中では最も陰性な臓器です。 細菌感染によっておこる肺炎、肺結核に加え、近年は、大気汚染、喫煙、食生活の変化などにより肺がん、気管支炎、気管支ぜんそくなどが増加の傾向にあります。今回は、小児から高齢者まで幅広くみうけられる気管支ぜんそくを取り上げます。
◆食養の要点◆
気管支が異物に対して過敏に反応し、けいれんや炎症などを起こし呼吸困難呼吸困難になるアレルギー(抗原抗体反応)の一種です。 主な原因のひとつとして、陰性な食物の取り過ぎがあげられます。陰性になった気管支は粘膜が弱まり弾力がなくなり、そこへ粘膜の分泌物や異物が入り込んだりたまったりすることによって、せきや発作の症状が表れます。 ふだんの食生活に塩気(陽性)が足りないと思われますので、組織を弛緩させる肉、魚、牛乳、卵などの動物性食品の加工品、油脂や砂糖、酢、酒など食品を避け、野菜、海藻、豆などを積極的にとりいれます。 主食の玄米には、粟などの雑穀を入れ圧力をかけて陽性に炊きます。味噌汁は、昆布だしに、豆味噌を用います。副食には野菜を、油で炒めてから醤油で煮込んだきんぴらなどの料理で微量のミネラルを補います。 特に蓮根は、細胞に弾力をもたせて締める作用があり、せき、たん、のどの痛み、ぜんそくなどの呼吸器系の症状に効果的です。 食材は、自然農法で栽培された新鮮で生きた玄米や旬の野菜、それらの食材で伝統的製法により作られた味噌や醤油、自然塩・天然水を用いるようにします。 発作の場合、せきの状態で陰陽を判断し手当てします。深く吐けない場合は陽性、息が普通に吸えない場合は陰性のぜんそくです。 陰性の症状には、梅醤番茶を、陽性の場合は、蓮根湯を飲みます。食養に加え、ストレスやアレルギーのもととなるアレルゲンの除去などの生活環境改善や、適度の運動などで表皮を鍛え、のどや気管の粘膜を強めることで、症状が緩和されることと思われます。
◆肺臓病予防対策献立の一例◆

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■晩夏の献立
・粟と小豆入り玄米ごはん ・黒ごま塩(7:3) ・寒漬け大根
・根菜の味噌汁 ・切干し大根と高野豆腐の煮物
・コーレン入り葛餅

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■中春の献立
・蓮の実入り玄米炊き込みごはん ・たくあん ・よもぎ団子汁 ・玉ねぎの味噌煮

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